1923年6月3日−2009年1月30日(85歳没)
生まれつき強度の近視で、小学校卒業後、同級生が町に働きに出るなかひとり秩父に残り奉公に出る。戦後、公一さんと出会い結婚。朝は水汲み、昼夜を問わない蚕の世話、夏は小麦、冬は炭焼きと休みなく働く日々。おしゃべり好きで人が寄り合えばいつも話の中心にいる村のムードメーカーだった。信条は「目がわるかった分、人に尽くす。お世話になったら、必ずお返しする」。ムツさんの愛らしい笑顔と秩父弁は、いまも多くの人を魅了し続けている。
1926年3月21日-2006年9月17日(80歳没)
寡黙で心優しいムツさんの夫。結婚写真は贅沢とまわりから言われながら、ムツさんの花嫁姿をのこした。父の教えで、炭焼きの腕は一流だった。夫婦で育てたもみじの下で「通りすがりの旅人がひとときを過ごせるように」と石のテーブルとイスを置くなど、出稼ぎで学んだ造園の豊富な知識でムツさんとともに花木を植え続けた。
1928年11月2日-2017年1月23日(88歳没)
江戸時代から続く農家の跡取り。杉山を守りながら畑仕事や養蚕で暮らしを支えてきた。山の暮らしが、いつか必ず見直される時が来ると信じ、80歳を過ぎても足取り軽く山に入り、自分の足腰だけで山仕事を貫いた。ムツさんが咲かせた花の手入れを引き継ぎ、村を訪れる人を迎える語り部のような存在に。
1917年3月2日-2008年5月28日(91歳没)
隣町から楢尾に嫁ぎ、夫とともに山仕事で暮らしてきた。夫に先立たれた後もひとり暮らしを続け、町に住む息子に同居をすすめられても「お父さんの一周忌までは」「じゃがいもを掘り終えるまでは」と、なかなか首をたてに振らず、山を離れるのを先延ばしにしていた。
1969年生まれ。新潟県出身。日本大学芸術学部映画学科卒業。
1993年NHK入局。初任地は東京の放送センター。担当は番組系カメラマン。以後、仙台、東京、福岡局を経て、2012年より再び仙台局勤務。現在もヒューマンドキュメンタリーのカメラマンとして被災地の取材を続けている。
《おもな番組(撮影)》
「ドキュメンタリー・ドラマ 宮沢賢治・銀河の旅びと」(1995年/映画テレビ技術賞 奨励賞受賞)、「にんげんドキュメント ムツばあさんの花物語」(2004年/日本映画撮影監督協会 第11回JSC賞受賞)、「NHKスペシャル いつもと同じ春が行き~樹齢千年大桜の里の物語~」(2004年)、「NHKスペシャル 無人の町の“じじい部隊”」(2014年)、「NHKスペシャル 15歳、故郷への旅~福島の子どもたちの一時帰宅~」(2017年)ほか多数。
1978年NHK入局。
山形放送局を経て、制作局・NHKスペシャル番組部などで主にドキュメンタリーを制作。
近現代史・文化・自然など幅広いテーマを多様な演出手法で描いてきた。日本人がどう生きてきたのか、生きているのかを、「見て面白い記録」として後世にのこすのが夢。「新日本風土記」で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。「秩父山中 花のあとさき」シリーズには当初から携わる。映画初プロデュース作品。
《おもな番組》
「日中戦争」文化庁芸術祭大賞。「寅さん、何考えていたの?」放送文化基金最優秀賞。
「イナサがまた吹く日」地方の時代映像祭グランプリ。「零戦」「京都人の密かな愉しみ」「原爆救護」ATP賞グランプリ。「引き裂かれた歳月」「クニコおばばと不思議の森」放送文化基金優秀賞。「女たちのシベリア抑留」「スローな武士にしてくれ」文化庁芸術祭優秀賞。「いのち 瀬戸内寂聴密着500日」「見上げればあなたはいつもそこに」ATP賞最優秀賞。「証言記録 兵士たちの戦争」橋田賞。「新日本風土記 佃・月島」映文連アワードグランプリ。「カバのゴッドファーザー」「ベルリン美術館」「宋姉妹」「拝啓大石内蔵助殿」「恋する一葉」「草間彌生全力疾走」「沢木耕太郎推理ドキュメント 運命の一枚」「靖国問題 戦後60年の軌跡」「新・映像の世紀」「平成万葉集」「マンゴーの樹の下で」「怪談牡丹灯籠」。
1941年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。元NHKアナウンサー。
東京アナウンス室以外では徳島、京都、鳥取、山口、長崎の各局で勤務。 定年退職後もフリーとして活躍。NHKスペシャルをはじめとしてドキュメンタリー番組のナレーションで2009年放送文化基金賞を受賞。 青山、横浜、さいたまのNHK文化センター朗読教室講師。【朗読集団 表現工房】主宰。著書に『メディアの日本語』のほか『ワークブック 朗読の根源的考察と実践的考察』がある。これまでに骨太の歴史ドキュメントが多数DVD化され、ナレーションを聞くことができる。
「ドキュメント太平洋戦争」「真珠湾の謎 特殊潜航艇の運命に迫る」「硫黄島玉砕戦 生還者61年目の証言」「引き裂かれた歳月~証言記録 シベリア抑留~」「日本国憲法 誕生」などの他、世界剣道選手権に取材した「ただ一撃にかける」、落語ファンにおくる「柳家小さん・花緑 超時空二人会」、城好きの方におすすめ「司馬遼太郎と城を歩く」全8巻、新開場のこけら落とし興行を密着取材した「新生歌舞伎座」などもでている。
1976年生まれ。埼玉県出身。秩父の山々を遠くに見渡せるベッドタウンで育つ。東京藝術大学音楽学部作曲科を首席で卒業、同大学院修了。松下功、篠原敬介の両氏に師事。NHK「ニッポンの里山」のほか、NHK8K放送の番組「北米イエローストーン ~躍動する大地と命~」をはじめとする8Kによる番組の音楽を数多く担当。また吹奏楽《東北地方の民謡による パラフレーズ》が「題名のない音楽会」で放送され楽譜が出版されている。
1972年生まれ。岩手県出身。国立音楽大学卒業後、英国にて作編曲を、アルゼンチンにてタンゴ奏法を学ぶ。現在は即興演奏やオリジナル楽曲を中心とした演奏活動を行っている。タンゴに即興演奏や現代音楽の要素を取り入れた“喜多直毅クアルテット”の音楽は、その独創性と精神性において高く評価されている。他に翠川敬基、黒田京子、齋藤徹等、国内を代表する即興演奏家との演奏と録音、また邦楽・韓国伝統音楽奏者・ダンサー・朗読家との共演も数多い。欧州での演奏も頻繁に行なっている。
naoki-kita.com
島根県出身。大学まではクラシックピアノを専攻。卒業後、美術館勤務、英国ピアノ留学の後、1995年から作曲活動を始める。2005年ヒップホップアーティストNujabesのアルバム「reflection ternal」に「I miss you」がサンプリングされ世界的に知られることとなる。NHKスペシャル「伝説のアムールヒョウ」、NHK BS「ニッポンの里山」の音楽制作を始め、映画、ミュージカル等の音楽を制作。2019年20枚目のアルバム「sonority」リリース。
kosenoriko.com